球は天高く、夢は果てしなく
第5回「もう一つの闘い」
2004-02-02

イラスト/ツトム・イサジ
秋と冬が混ざり始めている。
秋の夜空には、あの火星がまだ小さく、はっきりと光り輝いている。先日、近くの天文台に行き、大型望遠鏡でしっかりと確認してきた。ついでにアンドロメダ銀河も観ることができた。天文台の研究員のお兄さんが、「あの銀河からも同じようにこちらをのぞいているかもしれないですよ」などと言われるものだから、なんだかよけいに感激してしまった。
この季節にゴルフをするのも、また格別に気持ちがよいものである。が、しかし、ゴルフを初めて以来、私は、この時期のゴルフを心底楽しんだ、という記憶がほとんど無い。なぜか?・・・予選会が行われるシーズンだからである。
「予選会」\n 来シーズンのトーナメント出場権をかけたサバイバル戦である。システム変更に伴い、今年から4ステージが用意された。プレーヤーは、1stステージから挑戦し、(プロテスト合格者は2ndステージから)それぞれ、3日間のトータルスコア上位者が次のステージへ進み、4つめのファイナルステージで、4日間のトータルスコアを競う、という事になる。正確な数は把握していないが、今年の2ndステージからの参加人数だけでも400人弱。その中で、確実に来年のトーナメント出場を約束されるのは、35人前後。
女子プロトーナメントは、ほとんどの試合の出場枠が108人。その内、シード選手枠50人、推薦選手枠約20人、残った枠が、予選会を勝ち抜いた選手に与えられる、ということになっている。非常に狭き門なのである。\n 現在、プロテスト合格者は、700人強。プロ資格を持つ選手は、毎年確実に増え続けているし、資格が無くても挑戦できるシステムになったことで、毎年秋のサバイバル戦は、本当に過酷な勝ち抜き戦になってきている。
シード権を持っている選手でさえ、「予選会には、行きたくない」と答えるほどである。冗談ではなく、「シード権を取るよりも過酷な闘い」だと、断言できる。\n さてさて、この最終結果が出るのは、12月5日。テレビには映らないもう一つの闘い、来年の“生活権”をかけたシビアなサバイバルゲームが、只今、進行中なのである。
実は、この原稿を書いたのは、2003年11月20日。現在時、すでに2004年1月末。あっという間に2ヶ月も経ったということだ。「あっ」と言っている間に、いろいろな事が、少しずつ変化したようである。つい先日、アメリカの探査機が火星着陸に成功し、いろいろな調査を行っているというビッグニュースが伝えられた。私が天文台の望遠鏡で観た、あの火星の表面が、テレビ画面に映し出されるのを見るたびに、天文台のお兄さんの言葉が思い出される。\n「何で、星の研究をしてるんですか?」との私の問いに、「生物の誕生のメカニズムを解明するためですよ」と、答えられた。きっと今夜も、冬の夜空を見上げ、コツコツと研究を続けておられることだろう。
変化するといえば、予選会も終わった。\n 試合の出場権を得た者は、この時期、トレーニングに励む。1年間を戦い抜ける基礎体力をつける大切な時期である。心は、すでに3月からの開幕を見据えている。
出場権を得られなかった者もまた、長いスパンでのトレーニングの時期に入る事になる。一つだけ考えなければならない厄介な問題は、“この一年どうやって、お金を稼いでいくのか”という問題・・・・やれやれ。
まぁまぁともかく、それぞれの思いを胸に、2004年も動き出したようである。

