スローゴルフへの誘い
第121回「田舎ゴルフは一度やったらやめられない!」
2005-11-28

ボクが都会生活を離れ、終の棲家を求めて信州に戻ってきたのは、今から11年前のこと。その2年ばかり前には、当時暮らしていた大都会の東京から、どうやって出て行こうかとばかり考えていた。
疲れた、というのが正直な感想だった。疲れの原因にはいろいろある。人の多さに疲れたこともあるし、通勤ラッシュに疲れたこともある。ゴルフについても、車に仲間を乗せようものなら、朝の5時に家を出て迎えにいって、1日プレーを楽しんだ後、今度は仲間を送って、夜の10時近くに家路についた経験もある。そんなゴルフに、少し疲れていたことも確かであった。
しかし本当に疲れたのは、当時、すでにバブル経済が弾け始め、大好きなゴルフに行っても、非常に不景気な話が増えたからだったように思う。今、当時の日記を読み返してみると、やたらと夜の飲み会とゴルフが多かったことに気がつく。バブル全盛の時代よりも、その数が増えているのは、収入こそ減ったが、その分、自由な時間が増えたからであろう。だが、その飲み会、ゴルフの内実といえば、仕事が減った人間同士が傷をなめ合うかのように寄り添って、
「最近、どうにも不景気だねえ」
と、言い合っていただけだった。この時期、「最近どう?」と聞かれて、「いやあ忙しくて忙しくて」と答えると、仲間たちが非常に焦った顔をしたものだった。悪趣味ではあるが、そんな見栄を張り、嘘をついては仲間たちの困惑した顔を楽しんでいたこともある。
ただ、それは一時的な快楽ではあったが、やはり不景気な話は、とことんボクを疲れさせたように思う。それもまたボクが田舎暮らしをするきっかけになった。
不景気というのは、単に経済だけの話ではない。せっかく楽しいゴルフなのに、なぜか気の滅入るような話題が当時のゴルフ場には多かったように思う。いや日本の顔である大都会の東京には、そういう不景気な話が多かった。社会全体の閉塞感とはそういうものだろうが、「やるぞぉ!」という気分にはなれなかった。儲からなくてもいい。青空と緑があれば、元気になれるのではないか。そんな気持ちもあって、ボクは田舎暮らしを決意した。
たまに上京をすると、その東京の変貌ぶりには驚かされる。見たことのないビルが、次から次へと建っている。地下鉄の路線も増えた。景気は確実に回復しているのだろう。ただ景気は回復しても、なんだかみんなが疲れているように見えるのはなぜだろう?
青空と緑、これほどの贅沢はない。そしてこれほど元気にしてくれるものもない。田舎暮らしと田舎ゴルフは、一度やったらやめられない。

