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スローゴルフへの誘い
第122回「孔球」

2005-12-05


 ゴルフのことを漢字で表現すると、孔球というのだそうだ。ボールを孔に入れるので孔球。ベースボールが野球、テニスが庭球、サッカーが蹴球、バスケットが籠球、バレーボールが排球……さて、孔球と聞いて、みなさんはどのような感想を抱くだろうか?

 そんな話を聞いていた、ボクのゴルフ仲間の美容師は、
「へえ。孔球というんだ。でもオレたちのゴルフは……」
 よく曲がるので曲球、全然飛ばないので不飛球、ラフから打つことが多いので雑草球、グリーンに上がればボールがカップに蹴られることもしばしばで蹴球、弱気でショートして短球、そうかと思えばノーカンで大オーバーして暴球……。いったい何球と呼んだらいいのか、そんな話題でラウンド後の19ホールを2時間も3時間も楽しむのであった。
 彼は美容師で、月曜日が休みである。そのため、休日が比較的自由に取ることのできるボクとは、月曜日にしょっちゅうゴルフをやっている。その彼が、ある雨の降った月曜日の夕方、ボクの携帯に電話をしてきた。その日は一緒にゴルフをする予定だったのだが、あいにくの雨のために中止にした日であった。\n「ハグレキューなんてどう?」
 いきなりこう切り出した友人だが、最初はなんのことだかわからなかった。
「えっ?」
 と、聞き返すボクに彼はこう続けた。
「だからさ、オレたちのゴルフだよ。浮くに浪人の浪で、浮浪球。オレたちのボール、どこに飛んでいくかわからないからさ」
 そのネーミングが、すぐにジョージ秋山の名作マンガ、『浮浪雲』からきていることはすぐにわかったが、それにしてもゴルフが中止になった1日中、ゴルフのことを考えている。そんな友人も愛すべき友人だが、そんな無為な、それでいて幸福な時間を過ごさせてしまうスポーツというのも、考えてみれば非常に珍しい。
「どこに飛んでいくかわからないという意味では、文字通り鉄砲球というのがいいんじゃない? でも、これほどゴルフのことばかり考えているんだから、まさしくボクらにとっては愛球だね」
 そういうと、彼は嬉しそうに笑うのだった。
 愛球。いいネーミングじゃないか。

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