5年ぶりの復活V! 天沼知恵子が涙のツアー通算6勝目<廣済堂レディスゴルフカップ>
2006-05-29

日本女子ツアー・廣済堂レディスゴルフカップ<5月26〜28日・千葉県・千葉廣済堂CC 6333ヤード パー72>
取材・文/井上幸治
写真/藤田雄二
最後の70センチのバーディパット、これを決めれば、5年ぶりの優勝となる天沼知恵子。外せば、先にバーディパットを沈めていた同組の大山志保、古閑美保とのプレーオフという場面だったが、落ち着いてこの日最初で最後のバーディとなるウイニングパットを沈めた。
決まった瞬間、両手を突き上げ天を仰ぐと、そのままヒザから崩れ落ちた。一度立ち上がっても、またヒザをつき、肩を震わせた。まともに歩くことすらできず、“号泣”という言葉をも通り越していた。
「うれしい。何ともいえない、というか言葉が出ません。やりきった感じです」
共同記者会見の席上、開口一番、笑顔で今の心境を語った天沼だったが、この日のプレーの話になると、その表情は一転した。\n「今日は苦しかった。本当に戦い切りました……」
何とか搾り出したかのような声で振り返った。
最終日、2位の大山に3打差の首位でスタートした天沼は、出だしの1番でボギーをたたくと、その後は我慢のゴルフ。追う大山がバーディを重ね、5、14番と2度も並ばれた。さらに古閑、一組前の飯島茜もスコアを伸ばし猛追した。
「(大山、古閑にバーディが来ており)最初は自分にも(バーディが)来る、大丈夫と思っていましたが、実際チャンスが来て、ラインも読めていい感覚で打っても入らない。ホントに大丈夫なのかな……と」
弱気の虫が顔を出した。だが、今回初コンビのキャディ、太田正樹さんのアドバイスで自分のゴルフだけに集中し、プラス思考で乗り切った。ボギーも覚悟した10、14、16、17番のピンチも、絶妙なアプローチと気合のパッティングでパーを拾った。
「5年間、長かった。いろんなことがあったなぁ……」
この日のラウンド中、苦しかった思い出が何度も頭をよぎったという。
天沼がプロ初優勝を含む年間5勝を挙げ、プロ同期生・不動裕理との賞金女王争いを演じたのは2001年。翌年からケガやスランプで勝利から見放された。当時、“イキのいい若手”と注目された彼女も、気がつけば30歳を超え、若手が活躍する今の女子ゴルフ界の中にあって、普通の中堅選手となっていた。
「この5年間、あの5勝を忘れられない自分、あのときに戻りたいと思う自分がいた」
かつてのイメージから抜け出せない自分を責め続けた。応援してくれる人の期待に応えられなかった悔しさもあった。しかし今季は、この5年間の経験を糧とした新しい自分へと生まれ変わった。
「真っすぐしか見えなかった5年前に比べ、ようやく周りを見られる余裕も持てるようになったと思う。(今季は)手ごたえは感じていたのでやれるとは思っていたけど、5月のこの早い時期に勝てるとは……。年間5勝? またできたらいいですね」
01年も、5月を終えた段階では今年と同じ1勝のみ。夏以降の快進撃でツアーを盛り上げた。今年もツアー日程はまだ3分の1を消化しただけ。“新生・天沼”が、再び快進撃を見せる可能性も十\二分に、ある。


