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プロ5年目の甲斐慎太郎がツアー初優勝<バナH杯KBCオーガスタ>

2008-09-01


日本男子ツアー・バナH杯KBCオーガスタ<8月28日〜31日 福岡県・芥屋GC 7173ヤード パー72>

取材・文/小高 拓
写真/鈴木 祥

 2003年に日本学生と日本アマを制し、アマチュアナンバー1の座を獲得した甲斐慎太郎が、最終日トップでスタートしながら、崩れることなくプロ5年目にしてツアー初優勝を手にした。今季2位が2回、全英オープンにも出場した若手が一気にブレークしそうだ。

 2日目、2位タイで終えた甲斐、記者会見での第一声は、
「名前は甲斐慎太郎といいます」
 3日目、単独首位に立って前日に続き記者会見での第一声は、
「名前は必要ですか?」
 最終日、逃げきって優勝を飾り、優勝記者会見での第一声は
「僕ですいません」
 連日記者会見の場で照れを隠すように笑いを誘った。この神経の図太さが、初めての最終日最終組でもノーボギーで、優勝を勝ち取ったのかもしれない。
 実際には2位に1打差でスタートした1番パー4で2メートルのバーディチャンスにつけながら、ボールはカップの手前で止まった。
「訳が分からなかったです。グリーンに近づくと自分の体じゃないみたいに、言うことを聞きませんでした。早く打ちたいと思うからテークバックが小さくなっちゃっていたと思います。パターが打てませんでした」
 8番ホールを終えて、何度かチャンスがありながら甲斐はすべてパー。迎えた9番パー5は、3打目まですべてミスショット。グリーンをとらえた3打目は、カップまで7メートルもあった。
「9番のグリーン上でスコアボードを見たら上に宮里(優作)さんの名前があって、気持ちが楽になりました。朝から緊張していたから、もういいだろうって思ったんです」
 普通は、優勝が近づく後半にプレッシャーはさらに強くなるものだが、甲斐は逆だった。力が抜けて打った9番のバーディパットを沈めて首位に並ぶと、12、13番の連続バーディで抜け出した。その後も安定したゴルフで、星野英正を1打差で振り切って優勝を飾った。
「よかったです。本当に長い1日でした。でも訳が分からないですよ。ここまでいろいろあったから長かったです」
 優勝を噛みしめて歓喜の涙を流した。これで賞金ランキングも5位に浮上。
「次の目標? とりあえず、(地元宮崎で開催する)ダンロップフェニックスに自力で出られるのはうれしいですね。あとは……」
 ANAオープン(9月18〜21日)までの賞金ランキング10位以内で希望上位3人に米ツアーのファイナルQTの受験資格が与えられることを知ると、
「チャンスがあったら、受けると思います。将来は……、マスターズに出てみたいですね。そのためには日本の賞金王とかもあるんでしょうけど、まだよく分からないです」
 今年一気に階段を駆け上がったことで、自分の道しるべもできていないが、マスターズという目標はあるようだ。
「名前は甲斐慎太郎といいます」
 米国の記者会見で、そう話す日が来るだろう。177センチ、87キロの大型プレーヤーは、持ち前の図太さで日本を飛び越えて活躍してくれそうだ。

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